中学校2年生に薦めたい本100冊vol.12 3月

文豪への挑戦状~日本編

以前取り上げた、
中学校2年生に薦めたい、
海外の文学8冊。
今日は日本文学です。
こちらの8冊も
何度読んでも読み飽きない、
読むたびに新しい発見と感動のある
傑作群です。

その1
「潮騒」(三島由紀夫)

貧しい家に母と弟と暮らす
十八歳の若者・新治は、ある日、
浜で見慣れない少女を見かける。
少女は村一番の有力者・
照吉の娘であった。
次第に惹かれ合う二人は、
休漁日の日、観的哨跡で
落ち合う約束をする。
その当日は嵐となり…。

その2
「塩狩峠」(三浦綾子)

口喧嘩がもとで、
信夫は年下の虎夫に胸をつかれ
屋根から転落する。
成り行きを問う父親に、信夫は
自分で落ちたのだと答える。
「ぼく町人の子なんかに
 屋根から落とされたり
 するものですか」。
それを聞いた父・貞行の
顔色が変わり…。

その3
「あすなろ物語」(井上靖)

祖母りょうと土蔵で
二人暮らしをしていた
13歳の鮎太のもとで、
19歳の少女・冴子が
同居を始める。
冴子は鮎太に話す。
「あすは檜になろうと
 一生懸命考えている木よ。
 でも、永久に檜にはなれない。
 それであすなろうと
 言うのよ」…。

その4
「さぶ」(山本周五郎)

若くして腕のいい職人・栄二は、
ある事件がもとで
石川島の人足寄場へ送られる。
一人前の職人になるという
夢を砕かれ、
自暴自棄になる栄二。
だが寄場でのさまざまな人間との
交流の中で、
頑なだった栄二の心は
次第に溶け始める…。

その5
「銀の匙」(中勘助)

病弱だった「私」は、
空気の良い山の手に移り住む。
友達をつくろうともしない
内気な「私」をみかねた伯母は、
一緒に遊んでくれそうな
子どもを見つけ、
何度も働きかけてくれた。
やがて「私」はお国ちゃんという
女の子と仲良くなる…。

その6
「真理先生」(武者小路実篤)

真理について説いている
真理先生のもとには
皆が慕って集まる。
先生は石ばかり描いている
売れない画家・馬鹿一の絵に
興味を持ち、
彼に人間を描くことを勧める。
ある日、馬鹿一のもとに、
モデルに使ってくれという
女性が現れ…。

その7
「小さき者へ・生れ出づる悩み」
(有島武郎)

お前たちが一人前の人間に
育ち上った時、
父の書き残したものを
繰拡げて見る機会があるだろう。
その時この小さな書き物も
お前たちの眼の前に
現われ出るだろう。
お前たちの父なる私が
その時お前たちにどう映るか、
それは…。

その8
「坊っちゃん」(夏目漱石)

東京物理学校を
卒業したばかりの「おれ」は、
四国松山の
旧制中学の教壇に立つ。
子どもの頃から無鉄砲で
直情型の「おれ」は、
手の焼ける生徒たち、
臆病で無気力な同僚、
ろくでもない教頭との
葛藤を繰り返す。
反撥を重ねた末に…。

すべてが美しく味わいのある日本語、
日本人に恥じない善良な主人公、
深く心に突き刺さる筋書き、
これぞ日本文学といえる8冊です。
日本人に生まれてきてよかった、
しみじみそう思える作品です。

海外編でも書きましたが、
中学校2年生でまず読み、
以後10年に1回ずつ読めば、
その度ごとに新たな感動に包まれます。
中学校2年生の段階では、
もしかしたらこれらの本当の価値は
わからないかも知れません。
しかし、
必ずや人生の財産となるべき8冊です。
海外編とともに
中学校2年生に強く薦めたい8冊です。
ぜひお読みください。

(2020.12.13)

PezibearによるPixabayからの画像

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